2011年12月13日
酔狂(2)鮒寿司と塩 その1の続きです。
前回は後半に食塩に含まれるミネラル分について書いてみました。
それはどんな塩を使うかで味の違いや栄養の違いが出るのか?
つまり、天然塩の方が良くね?という世間一般的な価値基準のようなモノに
自分なりに考えてみました。
現段階の結論としては、よーわからんということで
今回は、もう少し分かる話をしてみたいと思います。
何度か登場する滋賀県工業技術総合センターの
岡田さんから聞いた話です。
塩漬けした食品は塩による保存状態が続く中で
自己分解が進んで旨味成分が増大します。
しかし、その塩漬けに使った塩を洗い流す時に
一緒に洗い流れてしまうのだそうです。
外国から輸入される野菜の中には塩漬け保存されて
入ってくるものも沢山あるのですが、
それらの栄養分も塩を水洗いする段階で
流れ落ちてしまってスカスカになっている
とお話をされていました。
ということは…
塩漬けした鮒は飯漬けする前に付着した塩を洗い落としますが、
その洗い方が大事だよ、ということが見えてくると思います。
鮒のヒレに付いた泥や取り残した内蔵など
丁寧に洗って取り除く事で、臭みの少ない鮒寿司が出来ます。
しかし、ジャ〜ッとと大量の流水で洗ってしまうと、
折角熟成され染み出した旨味成分や栄養分も一緒に流れ出てしまいます。
<塩漬けした鮒の洗い方が大事>
洗い方は、滋賀県の水産課の方々が毎年水産試験場で開催されている
「フナズシ飯漬け」の漬け方をまとめたDVDが参考になるともいます。
DVDについてはこちらをご覧下さい
==> 2.鮒寿司の楽しみ方
<内部リンク>
酔狂(2)鮒寿司と塩 その1
酔狂(2)鮒寿司と塩 その3
乳酸菌には植物性も動物性もない? もちろん鮒寿司の乳酸菌も
2011年12月13日
さて、タイトルだけ考えて随分放っておいた話なんですが、
塩について考えてみたいと思います。
と言って随分と難しい話なんですね〜。(^^ゞ
鮒寿司は製造行程として
(1)塩漬けと
(2)飯漬け
があります。
まず、この(1)塩漬けで大量の塩を必要とします。
ウロコや内蔵を取り出したフナの体内にも塩を詰め、
桶の中にそのフナを並べ、そしてフナ自体も塩で被うようにして
塩漬けしていきます。
浸透圧作用で魚の外部から塩が細胞内に入り込み、
代わりに細胞内の水分が体外に排出されます。
<塩切りによってしみ出してきた水分>
水分が少なくなるほど腐敗の原因となる細菌の活動は抑制され、
しかも細菌の細胞自身が浸透圧作用の影響を受けて死滅しますので
保存が利くという仕組みです。
ぬか漬けでは
(1)塩漬けと
(2)ぬか漬け(飯漬け)の
行程を同時に行います。
浸透圧作用を利用して、ぬか床のビタミンB群も
野菜へと入っていき、生野菜より栄養価が上がる
との説明を読んだ事があります。
<ぬか漬けのイメージ図>
ですから、塩漬けのみの場合でも、塩に含まれる
ミネラル分も同時に入って来ると考えるのは
自然ではないかと思います。
で、
そのミネラル分が鮒寿司の味にどのような影響を及ぼしているのか?
その事に興味があるんですが、このあたりは私の限界で、
よくわかりません。
ただ…
巷で言われているミネラル分が豊富な塩は美味しい、まろやか
という価値観があるようなのですが、それについて
本当はどうなのかなぁ〜と思っていたのですね。
そうしたところ、
究極の自然塩=海水そのものを総て蒸発させて作った塩から
生成される塩のミネラル分を計算したサイトを発見し、
読んでみました。
その結論は
「結局、ミネラルは体の中に微量あって重要な働きをしておりますが、
塩から摂取できるのは微々たる量であり、むしろ塩を上手に使い美味しい料理にして、
いろいろな食べ物をバランスよく偏食しないように食べることで、
必要なミネラルを摂取することが重要」
と結んでいました。
その微々たる含有量の違いが塩漬けに影響し、
また味覚に影響するのか?
優秀な料理人や美食家は味を区別できるのかもしれませんが
私はその味の違いを区別できる自信もないので
ミネラルの話はこのくらいにします。
次は
もっと現実に影響を及ぼしている、鮒寿司と塩の話を
書きます。という事で、続きはこちら
==> 酔狂(2)鮒寿司と塩 その2
<内部リンク>
ぬか漬けと鮒寿司漬け
酔狂ですか?鮒寿司を作るこだわり
<外部リンク>
自然塩とミネラルについて
12月 13th,2011
05 発酵とは何ぞや? | tags:
にがり,
ミネラル,
塩,
自然塩 |
1 Comment
2011年11月28日
「茨城からの「くされずし」のメール」の続きです。
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冨岡さん、こんにちは。
いつも楽しく鮒寿司の壁新聞を読んでいます。茨城の平野です。
2011年10月13日の「ナレズシ 鮎から鮒を見てみよ~」で「鮎のくされずし」に興味
を持ちました。祭りの行事食で一般の流通経路には乗らないということにもまた心引
かれました。
羽黒山は調べてみたら我が家から60km。そんなに遠くないのでさっそく行ってきまし
た。
梵天祭りは7時までとのことでしたが、5時過ぎに会場に着くと香具師が店を片付け始
めているではありませんか。焦って地元民と思しき人にくされずしのことを聞くと
「今年はやってたかなあ?あっちで聞いてみて」と言われ、不安になります。幾つか
店をまわって見つけました。透明なパックに入ったそれは値段がありません。「えー
と、いくらだっけ?400円?」と売る方も鷹揚です。「鮒鮓ほど臭くなく日本酒に
合わせたら最高だよ、挑戦してみる?」ということで、2パック購入、目的は達せら
れたので祭りは見ずにとんぼ返り!
さて、くされずしは見たところ鮎の含有率は低く、殆どがご飯と大根です。それで安
いのかもしれません。臭いもなますなどの大根の臭いです。私は日本酒が苦手なので、
カリフォルニアのシャルドネに合わせてみました。ビジュアルはちょっとアレですが、
まあ、不味くはありません。合うと思います。口の中でべちゃっとすえた飯に混じっ
て鮎を確認。味わうのに勇気が要りましたが大丈夫、もっと濃厚なものを期待してい
たのでやや拍子抜けでした。こうなると鮒鮓も食べてみたくなりますね。
最近はいろんな物が美味しい。美味し過ぎます。こういう素朴な味って貴重かもしれ
ません。
<平野さんから添付で送られてきた画像 くされずし>
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平野さん、レポートありがとうございました。
いや〜、羨ましい。羨ましすぎる。
けれども、
レポート読んでいますと、何か私まで一緒に出掛けて
くされずしを食べたような気になりました。
そうですね、ビジュアルはちょっとアレですね (^^♪ 。
口の中でべちゃっとすえた飯、この表現も
食感と味が伝わってきそうです。
バーチャルな発酵したご飯の味が
思わず口の中に再現されてしまいました(^^ゞ
実際に食べたわけでもないのですが、それでも
少し満たされたような気分になりましたね。
ありがとうございました。
平野さんも是非、機会があったら鮒寿司も
挑戦してみて下さい〜。
それから、ワインと合わせられたとの事。オシャレですね。
なれずしとワインは合うという話はよく聞きます。
モエ・エ・シャンドンの当主も合うと言ってるそうです。
私は残念ながら酒は飲めないのですが、
なれずしとワインとの組み合わせは
味わいにどんな相乗効果を生み出すんでしょうね。
そういえば、もうすぐクリスマス。
ワインと合わせる食べ物として
なれずし、な〜んて選択もいかがでしょうか。
<内部リンク>
茨城からの「くされずし」のメール
ナレズシ 鮎から鮒を見てみよ〜
podcast 33 島村菜津さん、スローフド、ドンペリ、鮒寿司
<外部リンク>
鮒寿司のオンラインショップ