ドジョウのナレズシ 栗東市大橋三輪神社
2012年5月10日
一週間ほど遡りますが〜
5月3日、是非とも行ってみたかった三輪神社に行ってきました。
JR草津駅から草津線の1つ目の駅、手原駅から約1km。
徒歩で十数分の場所にあります。
より大きな地図で 鮒寿司の壁 マップ を表示
ここの神社の祭りは珍しいドジョウのナレズシのお供えがあります。
滋賀県下には色んなナレズシがあって、ドジョウと言うだけでは
大して珍しくないと言われそうなんですが、
魚を生きたままナレズシにするというのは珍しくないですか?
昔々、この神社の神の使いである白蛇が
人身御供を要求した、という言伝えがあるそうです。
いつの頃から人をお供えするのではなく、ドジョウのナレズシを
生け贄の代わりに供えるようになったそうです。
生きたまま漬けることで人身御供の意味を残したのでしょうね。
ちなみに、人身御供は人柱とも言われますが、
柱という表現は神さんの数を数えるときに使われる表現でもあり、
何か関連があるのでしょうかね?
延喜式に掲載されるような、広く名の知れた神社ではありませんから
何か古文書などの記録に残っている、という事はないそうで
言伝えですが、と地元の方が断りを入れて説明をして下さいました。
「記録」は無くとも、この「生きたまま」というのが「記憶」のクサビとなって
長年、神社の言伝えを継承してきたのではないかなぁ〜と想像します。
人身御供が伝説ではなく事実としたら、いつの時代の頃なのか分かりませんが
随分と長い間、継承されてきたのですね。千年やそこらではないでしょうね。
祭りは午後1時からという事でしたが、私は到着が少し遅れて
神社に到着した頃には拝殿にて巫女さんの舞の奉納が始まっていました。
巫女さんと言っても、本当に若い小学生の巫女さんです。
人身御供というと少女が連想されるのですが、
それとこの舞の奉納も関連があるのか?と思いましたが
舞の奉納をするようになったのは戦後になってからだそうです。
人身御供とその背景などの話は、下記に紹介する本に影響を受けて
大いに関心を持つようになりました。なかなか面白い推論ですので
興味のある方は読んでみてはいかがでしょうか。
さて、肝心のドジョウのナレズシですが、5月1日に
昨年の秋に漬けた物を初めて封を開ける「口開け」を
当番のお宅でされて、神社にお供えをされるそうです。
そのお下がりが3日の祭りに出されるのです。しかも、
そのナレズシは誰でも食べて良いとの情報を私は予め聞いていました。
聞いてはいましたが、全くの部外者が自分から勝手に
食べに行くというのは、やっぱり少し抵抗があります。
どうしようか躊躇していた所に、以前鮒寿司オフ会で知り合った
大谷大の櫻井先生も取材で来られていたので合流したところ、
櫻井さんが地元の方も紹介して下さり、挨拶などして
「ドジョウのナレズシに興味があって来ました」と話すと
地元の方に「どうぞ、どうぞ」とドジョウのナレズシを勧められて
目的を果たす事が出来たのでありました。
さて、初めて食べたドジョウのナレズシですが
見た目も、食感も比較する類似の食べ物が思い当たらず
何と表現して良いか…。
このナレズシ他の一般的なナレズシとは違って、ご飯だけではなく
タデも入れて漬けてあります。タデとは刺身のツマなどにも使われる
山椒の実ほどの大きさの紫色のアレなんですが、
「何か意味があるのですか」と問うたところ、
「昔からず〜っとそうしてきただけで意味は分からんけど、
刺身のツマにも使うくらいだから殺菌効果があるのかもしれんなぁ〜」
という事でした。
食感はグニャグニャしていて噛み切り難いです。
この食感が最初慣れませんが、味は悪くはないです。
慣れると病みつきになるのかもしれません。
私はドジョウそのものを食べ慣れていないので、
味については「そんなものかなぁ〜」程度の感想でしたが、
発酵したご飯はとても美味しかった!
酸味が軽く、クエン酸のような柑橘系の爽やかな酸味を感じました。
これは素晴らしい発酵飯でした。(個人的には西の方が好みの味でした)
人が次から次へとナレズシをつまみに来られて、
東西どちらが美味いなどと話しながら食べておられ、
あっという間に無くなっていきます。
櫻井さんから「すし漬け人」(ここの祭りのナレズシ作りの指導員のような方)の
北野さんを紹介頂き、色々話を伺いました。
今年のナレズシも上出来でホッとしたとの事でした。
昨年の9月23日に漬けて、この日までうまく漬かっているかどうは
分からないので、気の弱い者だったらこの間の半年、ず〜っと心配で
絶えられないだろうと話していました。
もう一人の地元の郷土史家の大隅さんも紹介して頂き、
お二人から色々とお話を伺いました。
大橋地区は現在一戸建てが350戸、アパートを入れると
600戸だそうですが、元々は60戸程の農村地区との事でした。
野洲川の扇状地にあたり、村中に野洲川からの水路が走っており
ドジョウを捕るのは容易だったようです。
しかし戦後、このあたりの地域は様子が大きく様変わりしてしまいました。
何とかこの祭りを伝えてきたが、継承していくのは大変だと
話しておられました。
「ドジョウのナレズシは美味しかったです。
特に発酵した飯が美味しかった!」と言いますと
北野さんはニコッと笑って
「また9月の23日に漬けるから、その時に来たらよろしいわ」と
言って下さいました。
おお!ラッキー!
是非伺いたいと思います。
最後に、ドジョウのナレズシにがっつく地元の子ども達の動画を添付して
今回のレポートは終わりたいと思います。
<内部リンク>
5月3日は鮒寿司に関連して興味のある祭りが〜
ドジョウのナレズシ 三輪神社
超えたものだけが知る味の秘境とその仲間のコミュニティ 2rdオフ会
桜井さんには、栗東の博物館でもいろいろ教えていただいています。
紐の様なドジョウだった話を伺いました。
我が家は今年の漬けの準備を始めようかと思う季節です。
いつものとうり、近江八幡の店に、6月に入って受け取りに行く予定です。
高原さん
いつもコメントありがとうございます。
そうですね、紐のようなドジョウでした。
発酵したご飯はとても美味しい出来でしたが
ドジョウは食べ慣れていないので、どう表現して良いのやら〜。
もう少し食べ続けないと、言葉に置き換えるのは難しいように思いました。
珍しいお祭りのご紹介ありがとうございます。
記事、写真、詳しくご報告していただいて、とても興味深く拝見しました。
一度そのドジョウを味わってみたい、と思いました。
やまなか様
コメントありがとうございます。
来年は祭りに来られてはいかがですか?
やはり食べてみなければ何事も始まりませんよ(^^♪
小さな氏神さんですが、対応して頂いた地元の方々も
閉鎖的ではなく、気さくな感じがしました。
こんばんは。私の住む地域では、明日が祭礼(和邇祭)です。今日は、朝から御輿の飾り付けに出ていました。同じ役にあたった友人と久しぶりに話をしたところ、友人のお内儀の実家では、「ふなずし」を漬けるのに、飯漬けした後に、味噌に漬け直すとのことでした。酒粕ではないかのかと訊ねたところ、味噌だということです。そのような漬け方があるとは、初めて知りました。
ところで、当地域では、祭の食べ物といえば、鯖ずし(鯖の押しずし)と巻きずし(海苔巻き)です。皆さんの地域では如何ですか。
櫻井さん
当日はお世話になりました。
二度漬けに味噌を使うのは初めて聞きました。
色々あるのですね。一度その味噌漬けした鮒寿司を食べてみたいです。
私でも簡単に出来るような者なのでしょうかね?鮒寿司の味噌漬け。
イヤ、ちょっと予備知識なしにやるのは怖そうだなぁ〜