経過報告

2012年10月9日

日に日に秋の深まりを感じます。

<サワギキョウにアキアカネ>

<サワギキョウにアキアカネ>

春以降更新がほとんど出来ていないです。
思索を含めて活動自体もあまり出来ていませんが
あまりほったらかしも何なので
経過の報告をしたいと思います。

【6月10日】

守山市の弥生人養成講座というのがあり
今回は「「琵琶湖の魚の料理アラカルト」」と題し
堀越昌子さんと戸田直弘さんが話をするというので
出掛けてきました。

堀越さんは滋賀の食事文化研究の第一人者で
鮒寿司を含め数多くの滋賀の食事文化に関する
論文や記事があります。

私もいくつかそれらを読みました。
実際にお会いするのは初めてなので
どんな人なのかなぁ〜と半ば芸能人を見るような
憧れ的な関心を持って話を伺いに行きました。

戸田さんは以前一度お会いして
話を伺った事がありますが琵琶湖の漁師の視点で
積極的に色んな場所で発言をしておられます。

<堀越さん>

<堀越さん>

堀越さんの視点は
・アジアモンスーンという気候
・稲作文化圏
・淡水魚の宝庫
・発酵食品の宝庫
こういった背景をもとに伝統食について話をされました。

何といっても印象的なのが、それら食べ物の
素晴らしさについて、とても感情を込めて話される事でした。
話を聞いているだけで美味しそうで、食べてみたくなります。

後半は弥生時代の遺跡で盛り上がっている
守山で活動されている「稲と雑穀の会」の
赤米のふなずしづくりの実演を見学しました。

<古代米、赤米による鮒寿司漬け>

<古代米、赤米による鮒寿司漬け>

【7月22、23日】

自分も鮒寿司を漬けました。

今年は実験として例年のように
飯漬け前に水洗いした鮒を日干しする場合と
日干しをせずに細かい砂の毛細管現象で
水を切る灰干しとを行いました。

何故そんなこことをしたのか?ですが
魚を日持ちさせるには乾燥が大事です。
けれども、日干しで乾燥した場合には
日光で旨味成分(脂質)が影響を受けるとの説がああり
実験してみようと思った訳です。

灰干しの灰は鹿児島市に問い合わせをしたところ
いくつかリレーして繋がった会社から
桜島の火山灰地層から精製したシラスを
送ってもらいました。

<灰干し セロファン越しにしみ出した魚の水分>

<灰干し セロファン越しにしみ出した魚の水分>

そうしてに種類の乾燥を経た鮒を飯漬けし
只今順調に放置中です。

<2種類の乾燥を経た鮒寿司>

<2種類の乾燥を経た鮒寿司>

【7月29日】

キノコの勉強会に参加

<滋賀大学>

<滋賀大学>

今年私が仕事をしている山門水源の森の、保全や
来場者のガイドなどの活動をしているグループ
「山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会」の
ガイド養成講座に同行して大津の滋賀大学に伺いました。
山門水源の森にも多様なキノコが発生するので
それをガイドにも活かそうという目論見です。

<キノコについての講義>

<キノコについての講義>

キノコ研究の第一人者、横山和正先生に話を伺いました。
当然、私たちは専門家でないので、さわりの部分となります。
しかし、自分が学生時代に習った
植物(生産)、動物(消費)、菌類(分解)という三分類は
今は更に細かく分けられているとの説明に
時代の流れを感じました。

<世界は益々細分化される>

<世界は益々細分化される>

乳酸菌は菌と書きますがキノコ類ではありません。
言われてみればそうなのですが…。

【9月23日】
栗東大橋地区 三輪神社のどじょう取り神事

<5月3日 三輪神社>

<5月3日 三輪神社>

5月にどじょうのナレズシを食べた
三輪神社が来年の祭りに向けて
どじょうずしを仕込むというので
見学に行ってきました。

このブログを通じて交流させて頂いている
櫻井さんを通じて問い合わせたところ
無条件に、どうぞいらっしゃいという
とても開放的な神社さんです。

ここのどじょうのナレズシの特徴は
生きたままのどじょうを漬けるということです。
その製法をつぶさに見学しました。

<蓼の葉を混ぜたご飯の上に生きたドジョウを漬ける>

<蓼の葉を混ぜたご飯の上に生きたドジョウを漬ける>

このどじょうのナレズシの神事には
「すし漬け人」という役職の方がおられます。
そのすし漬け人の北野さんによると
この神事の事の起こりは伝説だろうなぁ〜との事です。

けれども、生きたまま漬ける事は発酵食品としての
機能面などには特段の意味は思い当たらず、
私はやはり、昔々に実際にあっ人身御供の記録装置
としての意味合いが大きいのではないかなぁ〜と思えます。

<内部リンク>
鮒寿司について学ぶに最適な一冊!
鮒寿司を食べ終わって白いお米が残りました。皆さんはどうしてますか?
酔狂(2)鮒寿司と塩 その3

鮒寿司を作る過程で、乾燥って重要ですよね〜
桜島から届いたもの これで鮒寿司の鮒を乾かしてみよ〜

乳酸菌には植物性も動物性もない? もちろん鮒寿司の乳酸菌も

ドジョウのナレズシ 栗東市大橋三輪神社
ドジョウのナレズシ 三輪神社

”STUDIOこほく” の放送はこんな感じでした

2012年8月24日

8月22日放送された
「びわ湖の恵み~フナズシ&ビワマス」の
動画です。

準備不足でとってもグダグダなトークになってしまいました。(^^ゞ

さてさて、
放送での反応はどんな感じだったのか、
まだちょっとわからない部分もありますが、
舞台裏の反応は目の前で起きているので
わかりやすかったです(笑)

今回は撮影用の意味合いで鮒寿司を持って行きました。
放送終了後に好きな人に食べてもらえればと思いましたが
どの程度の人が鮒寿司好きなのか分かりません。

ということで、余ってしまうのも嫌だなぁ〜と
思いましたので、小さめの130g程度の
鮒寿司をスライスして持ち込みました。

<放送の為にに持って行った鮒寿司 スタこほスタッフ川村さん撮影>

<放送の為にに持って行った鮒寿司 スタこほスタッフ川村さん撮影>

放送終了後、この鮒寿司はどえらい脚光を浴びてしまいました(笑)

<脚光を浴びる鮒寿司 スタこほスタッフ小西さん撮影>

<脚光を浴びる鮒寿司 スタこほスタッフ小西さん撮影>

そして、あっという間に全部無くなってしまいました。
いや〜、放送うんぬんより(そんな事言っちゃ何ですが)
こうして身近な鮒寿司好きな人々に喜んでもらったことが
何よりもの収穫だったかなぁ〜。

とても充実した夜を過ごす事が出来たました。
鮒寿司作った甲斐があったなぁ〜

ちなみに、今回持ち込んだ鮒寿司は2年ものです。
2010年に今津の魚清さんで仕入れた塩切り鮒を
私がその年に飯漬けしたものです。

途中から発酵のスピードを抑える工夫をしています。
その工夫とは? ナイショです。

<放送終了後の集合写真 スタこほスタッフ清水さん撮影>

<放送終了後の集合写真 スタこほスタッフ清水さん撮影>

<外部リンク>
STUDIOこほく 「びわ湖の恵み~フナズシ&ビワマス」

地元のユースト情報番組で話します。今日です。

2012年8月22日

え〜
今晩はユースト生出演します。

鮒寿司について語る予定です。
予定?

実は、色々と資料を作ったりとか
事前準備をしましたが、
結局間に合いそうにありません。

ぶっつけ本番になりそうです。
うまいこと話せるかなぁ〜

よる10時からと遅い時間からですが
良かったら、見に来て下さい〜。

チャットでの冷やかし大歓迎です。
でも、髪が薄くなったという指摘は
無しでお願いします。

WFFC 会長 冨岡

<スタこほ>

<スタこほ>

番組のリンクはこちら!

STUDIOこほく

今年は山ごもりをしています

2012年8月17日

随分更新が途絶えてしまって失礼をしています。
実は私、今年の五月からこんな山の中で日々過ごしております。

着任初日(2,012年5月1日)

<着任初日(2012年5月1日)>

場所は長浜市(旧西浅井町)の山門水源の森という所です。
同じ長浜市ですが私が住んでいる旧東浅井郡とは約30km離れています。

浅井

<浅井>

山門水源の森(やまかどすいげんのもり)

・ミツガシワ等生育地保護区(滋賀県条例)
・日本の重要湿地500(環境省指定)
・水源の森百選(林野庁)
・水源涵養保安林(滋賀県指定)

など指定された湿地を含む盆地上の山間部(県有林)の
保全、整備などの仕事をしています。

<仕事の様子 木柵の修繕>

<仕事の様子 木柵の修繕>

詳しい経緯などは後日にでも機会があれば
語っていきたいと思いますが、保全の為に覚えなければならない

・ここに生息する動植物の名前と生態
・この山の地質的な特徴
・湿原が形成された歴史的経緯
・里山として利用されてきた山の相関関係的なメカニズム等々…

そんな知識も保全の為に要求されており、体力も脳力もめい一杯でしたから、
なかなか鮒寿司ブログまで手が回せない実情がありましたのです…(´Д` )

という事なのですが、一応今年も鮒寿司も漬けたり
勉強会等にも参加したりと、合間を縫っては
何とか実働は継続しておりますので、それも
これから機会を作って報告していきたいと思います。

<モウセンゴケの花に留るハッチョウトンボ(日本最小)>

<モウセンゴケの花に留るハッチョウトンボ(日本最小)>

あ、それから今年の夏も暑いですが、
何故が滅茶苦茶体の調子が良いです!
朝の目覚めも抜群です!(年取ったからか?)
近くの細かい文字が読みにくくなりました(年取ったからです)
ハナクソ殆ど溜まらなくなりました(鼻毛も伸びない)

こんな感じの私です。
ということで、再開一発目のブログでした〜〜。

追伸
色々書きたい事は山ほどありますが
もし、気になる話題などありましたらメール等でお知らせ頂ければ
その話題から優先に書いていきたいと思います〜〜。お便り下さい〜〜。

<外部リンク>
山門水源の森

ドジョウのナレズシ 栗東市大橋三輪神社

2012年5月10日

一週間ほど遡りますが〜
5月3日、是非とも行ってみたかった三輪神社に行ってきました。
JR草津駅から草津線の1つ目の駅、手原駅から約1km。
徒歩で十数分の場所にあります。


より大きな地図で 鮒寿司の壁 マップ を表示

ここの神社の祭りは珍しいドジョウのナレズシのお供えがあります。
滋賀県下には色んなナレズシがあって、ドジョウと言うだけでは
大して珍しくないと言われそうなんですが、
魚を生きたままナレズシにするというのは珍しくないですか?

昔々、この神社の神の使いである白蛇が
人身御供を要求した、という言伝えがあるそうです。

いつの頃から人をお供えするのではなく、ドジョウのナレズシを
生け贄の代わりに供えるようになったそうです。
生きたまま漬けることで人身御供の意味を残したのでしょうね。

ちなみに、人身御供は人柱とも言われますが、
柱という表現は神さんの数を数えるときに使われる表現でもあり、
何か関連があるのでしょうかね?

<三輪神社参道>

<三輪神社参道>

延喜式に掲載されるような、広く名の知れた神社ではありませんから
何か古文書などの記録に残っている、という事はないそうで
言伝えですが、と地元の方が断りを入れて説明をして下さいました。

「記録」は無くとも、この「生きたまま」というのが「記憶」のクサビとなって
長年、神社の言伝えを継承してきたのではないかなぁ〜と想像します。

人身御供が伝説ではなく事実としたら、いつの時代の頃なのか分かりませんが
随分と長い間、継承されてきたのですね。千年やそこらではないでしょうね。

<小学生の巫女さんの舞の奉納>

<小学生の巫女さんの舞の奉納>

祭りは午後1時からという事でしたが、私は到着が少し遅れて
神社に到着した頃には拝殿にて巫女さんの舞の奉納が始まっていました。
巫女さんと言っても、本当に若い小学生の巫女さんです。

人身御供というと少女が連想されるのですが、
それとこの舞の奉納も関連があるのか?と思いましたが
舞の奉納をするようになったのは戦後になってからだそうです。

人身御供とその背景などの話は、下記に紹介する本に影響を受けて
大いに関心を持つようになりました。なかなか面白い推論ですので
興味のある方は読んでみてはいかがでしょうか。
大国主対物部氏---はるかなる古代、出雲は近江だった

さて、肝心のドジョウのナレズシですが、5月1日に
昨年の秋に漬けた物を初めて封を開ける「口開け」を
当番のお宅でされて、神社にお供えをされるそうです。
そのお下がりが3日の祭りに出されるのです。しかも、
そのナレズシは誰でも食べて良いとの情報を私は予め聞いていました。

聞いてはいましたが、全くの部外者が自分から勝手に
食べに行くというのは、やっぱり少し抵抗があります。

どうしようか躊躇していた所に、以前鮒寿司オフ会で知り合った
大谷大の櫻井先生も取材で来られていたので合流したところ、
櫻井さんが地元の方も紹介して下さり、挨拶などして
「ドジョウのナレズシに興味があって来ました」と話すと
地元の方に「どうぞ、どうぞ」とドジョウのナレズシを勧められて
目的を果たす事が出来たのでありました。

<ドジョウのナレズシ 東西二つの組の切磋琢磨>

<ドジョウのナレズシ 東西二つの組の切磋琢磨>

さて、初めて食べたドジョウのナレズシですが
見た目も、食感も比較する類似の食べ物が思い当たらず
何と表現して良いか…。

このナレズシ他の一般的なナレズシとは違って、ご飯だけではなく
タデも入れて漬けてあります。タデとは刺身のツマなどにも使われる
山椒の実ほどの大きさの紫色のアレなんですが、
「何か意味があるのですか」と問うたところ、
「昔からず〜っとそうしてきただけで意味は分からんけど、
刺身のツマにも使うくらいだから殺菌効果があるのかもしれんなぁ〜」
という事でした。

食感はグニャグニャしていて噛み切り難いです。
この食感が最初慣れませんが、味は悪くはないです。
慣れると病みつきになるのかもしれません。
私はドジョウそのものを食べ慣れていないので、
味については「そんなものかなぁ〜」程度の感想でしたが、
発酵したご飯はとても美味しかった!

酸味が軽く、クエン酸のような柑橘系の爽やかな酸味を感じました。
これは素晴らしい発酵飯でした。(個人的には西の方が好みの味でした)

人が次から次へとナレズシをつまみに来られて、
東西どちらが美味いなどと話しながら食べておられ、
あっという間に無くなっていきます。

<ドジョウのナレズシ 上にナマズのナレズシも乗っている>

<ドジョウのナレズシ 上にナマズのナレズシも乗っている>

櫻井さんから「すし漬け人」(ここの祭りのナレズシ作りの指導員のような方)の
北野さんを紹介頂き、色々話を伺いました。

今年のナレズシも上出来でホッとしたとの事でした。
昨年の9月23日に漬けて、この日までうまく漬かっているかどうは
分からないので、気の弱い者だったらこの間の半年、ず〜っと心配で
絶えられないだろうと話していました。

もう一人の地元の郷土史家の大隅さんも紹介して頂き、
お二人から色々とお話を伺いました。

<地元の方と話が出来たのは有り難かった>

<地元の方と話が出来たのは有り難かった>

大橋地区は現在一戸建てが350戸、アパートを入れると
600戸だそうですが、元々は60戸程の農村地区との事でした。
野洲川の扇状地にあたり、村中に野洲川からの水路が走っており
ドジョウを捕るのは容易だったようです。
しかし戦後、このあたりの地域は様子が大きく様変わりしてしまいました。

何とかこの祭りを伝えてきたが、継承していくのは大変だと
話しておられました。

「ドジョウのナレズシは美味しかったです。
特に発酵した飯が美味しかった!」と言いますと
北野さんはニコッと笑って
「また9月の23日に漬けるから、その時に来たらよろしいわ」と
言って下さいました。

おお!ラッキー!
是非伺いたいと思います。

最後に、ドジョウのナレズシにがっつく地元の子ども達の動画を添付して
今回のレポートは終わりたいと思います。

<内部リンク>
5月3日は鮒寿司に関連して興味のある祭りが〜
ドジョウのナレズシ 三輪神社
超えたものだけが知る味の秘境とその仲間のコミュニティ 2rdオフ会