鮒寿司に浅漬けなんて有るの?について

2011年10月24日

鮒寿司は約一年かけて作る、
とても時間のかかる発酵食品です。

ナレズシ料理は滋賀県以外でも鮎、さんま、鯖、などを
使った料理が各地にありますが、殆どのナレズシは
発酵の期間が3〜4週間と、鮒寿司と比べて随分短いです。

その発酵期間の違いは、発酵したご飯の
扱い方の違いとして現れてきます。

基本的には鮒寿司の発酵したご飯は
「ぬか床」的な扱いで、食べる事を目的としません。
鮒を食べるのがメインです。

それに比べ、発酵期間の短いナレズシは
発酵したご飯も一緒に食べる前提で漬けられます。

また発酵期間の違いとして、期間が長ければ
漬け込まれた鮒は、その間にゆっくりと
たんぱく質などが自己分解されていきます。
それに関連して旨味成分も増えて味わい深くなり
栄養源としても吸収しやすい状態になります。

これらのプロセスは熟成とかエージングなどとも
言われますね。

一方で、鮒寿司のもう一つの魅力の、
酸味の効いた味や整腸作用などは
鮒によるものではなく発酵したご飯、
つまり乳酸菌による作用です。

この発酵は期間が長くなると、
酸っぱさが強くなり過ぎたり
またクセも強くなる傾向にあります。
あまり、量は食べられません。

しかし、
どおせなら魚もご飯もいいとこ取りをして、
両方いっぱい食べたいなぁ〜との思いが
湧いてくるのですね。

これは宮のさんまの馴れ鮓を食べて
より一層思うようになりました。

その為の方法として、
発酵が進んで骨まで柔らかくなった鮒寿司を
ご飯を漬け代えて数週間程度再発酵させる、
つまり鮒は長期に漬けられているがご飯の発酵は浅い、
そんな贅沢な作り方をしてみてはどうか、と
思った訳ですね。

結局は失敗しましたけど…。
この話はもう少し続けたいと思います。

<内部リンク>
鮒寿司の乳酸菌とは何ぞや?
曼荼羅のような鮒寿司の桶の中で起きていること
鮒寿司の味の本質は発酵によるものではない?
podcast 39 宮本輝「にぎやかな天地」に書かれた鮒鮓
三男の細菌性腸炎で知る 乳酸菌は偉大なのである!
ただ30年ものの熟れずしを食べるためだけに新宮市へ 3/3
新宮のさんまの馴れ鮓の影響を受けて試した、鮒寿司の二度漬けは失敗だった

<ナレズシの菌の変遷>

<ナレズシの菌の変遷>

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