鮒寿司の味の本質は発酵によるものではない?
2010年2月18日
最近ようやく、ボヤ〜ッとですが
分かってきたかナと思う事があります。
それは、鮒寿司の本質に関わる事です。
鮒寿司好きな人は、その臭いけど美味い!味に
最大の関心があります。、、、よね。
臭いものなんて本音は近寄りたく無いのに、
その障壁を超えてまで食べたいと思ってしまう。
それくらいに魅了する味が鮒寿司には有る!
という事ですね。
どうですか?鮒寿司ファンの皆さん。
私はそこが鮒寿司の一番重要なところだと思うのです。
その鮒寿司の美味さについて以前から意味を理解せずに、
私は色んな本から引用をしてきた事もあった様な気もしますが、
本当は分かっていなかった、、。
さて
最近twitterで交流している人に教えてもらった言葉ですが
「エージング」という言葉があります。
魚ではなく、鳥や動物の肉の熟成でよく使われる言葉です。
私達が食べる肉は動物、魚に関わらず
死後硬直によりすぐに肉は固くなっていきます。
と同時に腐敗菌が繁殖しだして腐っていくのですね。
鮮度や消費期限が大事というのは、そういう事ですね。
しかし、腐敗から遠ざけられた環境下では
肉自体の持つ酵素の働きによって、筋肉が柔かくなると同時に
タンパク質が分解されて旨み成分のアミノ酸が増していく
作用、熟成(エージング)が起こるというらしいです。
エイジ=年齢ですが、老化という意味合いで
アンチエイジングなどと使われたりますが、
食品の場合は熟成ですね。まぁその位の時間を
掛けて組成が変化していくという事ですね。
魚を刺身で食べる場合は鮮度が命です。
絞めた直後が一番鮮度が良いですね。
獣肉などでは熟成は腐る直前が美味しい!と
言われることもあります。
魚を食べる場合の常識からは真逆の作用が
エージングですね。
しかし、ここまで書いてお分かりの方も多いと思いますが
鮒寿司がその製法の中でやっているのは
エージングではないか!という事ですね。
鮒寿司はナレズシとも言われていて、
ナレズシとは現在の寿司の源流とされていると同時に
発酵による保存食品だということは
広く知られています。
その知識だけだと
鮒寿司=保存=発酵=美味い
という図式を思い浮かべてしまって
発酵が美味しさを決定づけているように
思ってしまうかもしれません。
けれど発酵の主な役割は保存ですね。
鮒が乳酸菌が繁殖したご飯に囲まれているので
鮒に腐敗菌が寄り付かない、
つまり腐らないという事ですね。
で、その保存作用が効いている間にエージング(熟成)が
起こっているのが、美味さの仕組みの部分ではないか?
と思うのですよ。
もちろん、乳酸発酵によって酸が骨を柔らかくするとか
発酵による生成物が味に深みを加えているというの
重要な要素だと思います。
しかし、旨味の基本はグルタミン酸やイノシン酸と
言われていて、鮒のタンパク質が長時間かけて自己分解され、
それらの旨味が増加した状態で食べるので
美味い!のではないかと。
いわゆる脂の美味さではなく、旨味の美味さですね。
私はこの道筋を見つけて、
鮒寿司の虜になっている人は、
この旨味に反応しているのだなと思ったわけです。
そしてこの旨味は時間をかけないと出ない味なのですね!
ファーストフードでは出せない味なんですね!
ちょっと興奮気味に書いていますが
そこから更に、美味しい鮒寿司を作るヒントは
エージング的な考え方と対応の仕方による部分に
隠されている事が大きいのではないか?と思ったわけです。
もちろん、発酵に保存作用は大事ですし、
そこをベースにもっともっとエージングについて
調査と実践をしていきたいなぁと思います。
これをご覧の方で、そういった栄養の面から
コメント頂けると有り難いのですが、、、、。
鮒寿司桶の中の旨味成分について図を描いてみました。