ドジョウのナレズシ 三輪神社

2012年1月12日

正月休みに、こんな本を読みました。
大国主対物部氏---はるかなる古代、出雲は近江だった

日本神話の裏ストーリーの舞台が
近江だったという内容の話です。

その中に三輪神社という神社が登場します。


より大きな地図で 大国主対物部氏 を表示

三輪神社の位置ですが、
国道1号(東海道)と国道8号(東山道、中山道)の分岐辺り、
昔からの交通の要であったであろう場所です。
近くに三上山、そして野洲川が流れています。

大橋という地名から、昔はこの辺りに川の流れがあって、
橋のかかる、まさに交通の要所。人々が集いそして行き交い、
また野洲川の扇状地という事から、用水にも恵まれ、
食べ物の豊かな地域だったと思われます。

この神社の春祭りではドジョウのナレズシ
お供えものにつかわれるそうです。

祭神はオオナムチのミコト(大国主)で
由緒として、この神社の神の使いは白蛇であり、
例祭に人身御供を要求したことがあったそうです。
その代わりに今では“「生きたドジョウ」を漬けこんだ
ドジョウ寿司”を神饌として捧げることになったとのことです。

本の著者はこの地域や周辺の土地や神さんの名前と、
記紀の物語と照らし合わせ、これらを再構築していきます

そして、記紀編纂を命じた天武天皇以前の
日本の歴史の壮大な裏ストーリーを描いています。

天武天皇の時代より更に数百年昔〜
この地に豊かなクニがありました。

その後、奈良の三輪山を本拠地とする勢力が
この地を制圧してしまい、ここに生きる人々は
ひどい扱いを受けたのかもしれません。

体制には逆らえませんが、人々は自分たちの境遇を
忘れないように、祭りという仕組みを使って
後世へと伝えていきました。

本の内容の一部ですが、要約するとこんな感じです。

ドジョウのナレズシの祭りが千年以上の時を越えて
集落にあった出来事の記録を未来へと伝え繋げていく
個々人の思惑を越えた人々の願いが働き続け
古代にこの地にあった出来事を、今に伝えているように感じます。

人々にとって「本当」の事より、「大切」なのは
生き続ける事だったと思います。

史実はどうかはさておき、
私は三輪神社に行きたくなりました。

ナレズシの深〜い意味付けと共に
古代の人々の思いが感じられそうです。

春祭りは五月三日だそうです。

2012.01.10 第94回 やっぱりゾクゾクする滋賀の昔話
(↓黄緑色の三角をクリックすると音声が流れます)

<内部リンク>
掲載してある地図↑に色々埋め込んでみました。

<外部リンク>
三輪神社 ドジョウ寿司
鰌鮨(ドジョウズシ)祭り

Comments (4)

高原 正成1月 13th, 2012 at 6:10 PM

 熟れ寿司ですか‥‥寿司飯かどうかわかりませんが、飯の間にどじょうを埋め込み、押して固めたものらしい‥‥と聞いた事がありますが。いずれにしても神事の貢物らしく、鮒寿司のような美味ではないらしい、と思っていました。

冨岡1月 14th, 2012 at 10:15 AM

高原様
いつもコメントありがとうございます。

そうですね、神事に使うナレズシということで
味本意のものでは無いかもしれませんが、
私はとても気になります。是非一度祭りと共に
その味も体験してみたいなぁ〜と思います。

櫻井信也1月 14th, 2012 at 10:23 AM

栗東市大橋の三輪神社の「どじょうずし」。昨年5月に食べる機会を得ました。また、9月には漬け込みを見学することもできました。飯と蓼を混ぜたものを桶の底に敷いて、その上に塩を振り掛けたドジョウを置き、その上に混ぜ飯を敷いて、次はナマズを置く、そのような繰り返しだったと思います。生きたドジョウに塩を振り掛けると、ドジョウは「きゅうきゅう」と声をあげます。7箇月以上も飯に漬けるわけですが、そのようにして漬けたドジョウは、紐のようになっていて、スシとしての味を「味わう」という感じではありませんでした。

冨岡1月 14th, 2012 at 2:41 PM

櫻井様
いつもコメントありがとうございます。

そうですか、三輪神社の祭りを見学されたのですか。
しかも漬け込みも見学されたとの事。ちょっと羨ましいですね。

ローカルな地域の祭りと聞いていますが、
外部の者が祭りを見せてもらおうと思うと、
どなたかに見学の申込をしないといけないのでしょうか?

「スシとしての味を「味わう」という感じではありません」
とのことですが、どんな味なのか却って興味がわきますね。

ドジョウは人身御供の代わりとなるものなので、
生きたものでなければいけないのでしょうけれども、
それを食する事にはどのような意味が込められているのでしょうね。
ますます興味が湧きます。

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