人間の食への欲望は果てしなく深い

2011年6月3日

〜 古来より人間は
危険を冒してまで旨いものを食べたい
そう思う程、欲深い生き物である 〜

鮒寿司の事を考えるとそう思わざるを得ないことがります。

それは塩漬け塩蔵だけでも充分保存は可能なのに
その塩をわざわざ取り払い、ご飯に変えて飯漬け
発酵させるという仕組みが、そう思わせるのです。

<桶から出したての鮒寿司(4ヶ月程度)>
<桶から出したての鮒寿司(4ヶ月程度)>

安全性の面から考えれば、つまり、
腐敗菌などの繁殖をさせない事を考えれば
塩漬けしておく方が条件的には良いようです。

鮒寿司では症例が出ていないようですが
他のナレズシではボツリヌス菌による
食中毒の症例も出ています。

昔から家庭に伝わる方法ですから、
そんなに難しい技術ではありませんが
乳酸発酵による保存は塩漬け保存よりは
技術のいる方法です。

「ふなずし」を考える(環境と食の研究会編)』の中で
以下のような事が書かれていました。

<「ふなずし」を考える>
<「ふなずし」を考える>

『延喜式』には近江で塩漬けされた鮒が都に運ばれ
都でわざわざすしに漬け直していた。
都人は「保存食」と言われるような消極的な目的ではなく、
飯の発酵によって得られる、独特の酸味と香りを求めて
ナレズシを作ったのではないか?

その都人たちのスピリットを継承する末裔の末裔の末裔を
自負する私も独特の酸味と香りを求めて
ちょっとした取り組みをしています。

2008年に漬けた鮒寿司(4匹)を一旦飯を変えて
漬け直しをしてみたのです。行程、製法、気温時期、
塩分濃度などは通常漬ける鮒寿司と同等です。

そして、
5月の中旬に初めて桶を開けてみました。

ん〜〜 漂ってきた匂いはいわゆる鮒寿司の発酵の匂いとは違います。
微かにアルコール臭がして、しかも爽やかな軽〜い感じの香りです♪

発酵飯の色も白っぽく、表面は滑らかで艶があります。
触ってみますと、ちょっとざらつき感の残った
ペースト状になっていました。

少し指ですくって舐めてみたら、
僅かに甘みがあります。酸味はあまり感じません。

ごそっと手を突っ込んで鮒を掘り出そうとしたら、
ボロボロと鮒の身が崩れてしまいました。

<オフ会に出した三年もの鮒寿司>
<オフ会に出した三年もの鮒寿司>

その鮒寿司をオフ会へ持ち込んで参加者にも食べてもらったのは
以前書きましたが、その中で池島さんがとても興味を示され
後日、あの鮒寿司を分けてほしいと家を訪問されました。

そして、またしても形の崩れた鮒寿司を一匹持ち帰られ
島根から遊びにこられていた友人の杜氏の方や仲間の方と
食されたそうです。そして以下のようなメールを頂きました。

文が長くなりそうなので、続きはまた次回。

<内部リンク>
鮒寿司を漬け物としての視点で語ってみる (1)浸透作用?
何故か鮒寿司には食中毒が発生していないという話
鮒寿司について学ぶに最適な一冊!
超えたものだけが知る味の秘境とその仲間のコミュニティ 2rdオフ会

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