鮒寿司を漬け物としての視点で語ってみる (1)浸透作用?
2010年4月10日
先日、鮒寿司用の鮒の塩切り作業を見学しましたので
改めて、漬け物としての鮒寿司の視点で語ってみたいと思います。
漬け物の原理とは浸透作用・酵素作用・発酵作用の
三つの作用が漬け物の種類によって複雑に関係して
出来上がるものだ、ということらしいです。
鮒寿司の場合を行程に添ってお話ししますと、
春の産卵前の鮒を捕獲し、まず内蔵、鱗を取り除いて
夏までの期間、塩切りによる保存を行います。
塩切りによる保存とは食塩の浸透作用を利用します。
浸透作用とは?
高校時代の記憶を引き出さないといけないのですが、、、
溶質?溶液?半透膜、、、、?
もう完全に忘れています (^_^;)
ざくり言うと細胞の半透膜という膜を挟んで
(細胞の内外の境界は半透膜でよかったのかな?)
塩分の濃度が違う2つの液体があるとすると、
薄い方の液体の水分が濃い方へ移動して
同じ濃さになろうとする作用ということですかね。
<浸透作用とは?>
実際に塩で鮒を覆うようにして桶に詰めていくと、
すぐに鮒の水分がしみ出してきます。
<桶に入れて重しを乗せます。水分がしみ出してきます>
さて、塩分濃度が高いと腐敗菌などが取り付いて繁殖しようとしても
その細菌自身の細胞から水分が吸い出されて死滅してしまったりで
なかなか繁殖できず、保存が効くという原理らしいのです。
塩の脱水作用とも言われています。
ただ、この状態では腐敗はしないものの、
タンパク質が分解されて旨味成分が増すとか
そういう事はないようです。
お楽しみのの旨味を増していくためには
塩分の強い環境でも生息する乳酸菌の
活躍を待たなければいけません。
乳酸菌が活躍しやすい夏まで、塩切り保存状態で
待機なのです。
浸透圧の原理は今なら科学的視点で説明できますが、昔はどのようにしてその作用を見出したのか不思議です。これは鮒寿司だけでなく、いわゆる「昔の知恵」と呼ばれるもの全般に思うことです。しかし、乳酸菌は過酷な状況でもいきられる存在なのですね。腸内作用云々からもなるほどと得心しました。
コメントありがとうございます。実は生物学なんて高校以来でして、
錆び付いた頭を酷使して理解に努めています。
ただ、常に関心を持ち続けていますと、最初は全く訳が分からなくても
一周してきて少し分かるようになる、様な気がします。
螺旋階段式に理解していっているというか、、、。
ウィキペディアでは塩による保存作用は起源が不明とありますね。
このテーマで色々調べるのも面白いかもしれません。
あまり表立っていませんが、人間が火を使い始めたのと
同じくらいに画期的な事なのかもしれませんね。