何故か鮒寿司には食中毒が発生していないという話

2011年1月12日

「鮒寿司には食中毒が発生したという話を聞かない」とよく聞きます。
伝聞の伝聞です(^^ゞ。さて、この伝聞は信用に足りるでしょうか?

以前、鮒寿司を販売するのに手続きが必要なのかを
確認する為に保健所で話を伺った事があります。
その時の話では経験的に「鮒寿司は衛生的に安全な食品」と
考えられているとの印象を受けました。

それについて書いた記事は下記にリンクを貼っておきますので
ご覧頂ければと思いますが、鮒寿司がそのような扱いなのは、
やはり食中毒の発生が無いからなのかなと思った次第です。

でも、伝聞を情報源に記事を書くのはどうか、との思いもありましたので
一度キチンと調べてみなければと思っていました。では何処で調べるのか?
やはり食中毒となればそのデータは保健所でしょうから、再度、
保健所に足を運ぶ事にしました。

<長浜保健所>
<長浜保健所>

「鮒寿司などのナレズシに関する食中毒のデータはありますか?」
と尋ねますと、しばらくして職員の方がデータを打ち出した紙を
2枚見せてくれ説明してくれました。

昭和29年からのデータの中でナレズシで食中毒の記録は
昭和48年と平成元年にいずれもマキノ町で、ハス寿司を食べて
ボツリヌス食中毒が発生した2件です。

これを2件もととるか、たった2件だけととるか?
私の印象ではたった2件か!との印象でした。

ボツリヌス菌の食中毒は死に至ることもある極めて危険な食中毒です。
自力で治すというような類いのものではありません。病院からの報告が
入りますから、記録漏れは無いでしょうとの事でした。

「魚の種類による発生の危険度の違いはありますか?」
との質問にはニゴロブナであろうがハスであろうが
発症のリスクは同じだと思います、との返答でした。

対応された職員さんの見解として、
食中毒が発生したハス寿司は何れも漬け方がマズかったか
管理がずさんだった状況があったのではないでしょうか、
との見解を言われていました。

ハスでもフナでもナレズシ加工した場合には
通常では乳酸発酵してphが下がり、ボツリヌス菌の発生を抑えますが
食中毒が発症すると、とても怖い菌ですので食品管理は十分に
気をつけて下さい、との事でした。

なお頂いた資料の紙には、食中毒事件分析の記述があり以下の
事が書かれていました。

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なお、毒素産生には、
①ボツリヌス菌芽胞の食品への混入
②ボツリヌス菌芽胞と競合する雑菌の減少(不十分な加熱、脱水、薫製、真空パック等)
③毒素産生に必要な栄養供給、十分な物理的条件の確保(pH≧4.5 水分活性が十分)
④毒素産生に必要な温度、十分な期間保存される状態
の4条件がすべて整うことが必要とされている。
滋賀県の特産品である「フナ寿司」でボツリヌス食中毒が発生しないのは、
乳酸発酵がボツリヌスの増殖よりも速やかに起こるため②や③の条件を満たさないためと考えられる。

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<内部リンク>
以前に保健所へ出掛けた時の記事は ==> 鮒寿司の賞味期限は、、、、、自分の舌で
<外部リンク>
ボツリヌス菌については ==> wiki ボツリヌス菌
滋賀県 健康福祉部 生活衛生課 食の安全推進室の
食中毒分析ファイルからナレズシに関するデータ ==> ボツリヌス菌食中毒事件の概要
と、その詳細 ==> ボツリヌス菌食中毒事例

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