目の前に見える物体の鮒寿司より、その状況を考えてみる

2011年3月1日

今回は全展を通じて県外の方に鮒寿司アイスを試食して頂く
機会を得ましたが、その機会を通じで思った事を書きます。

二月は鮒寿司アイスの試食会のため、東京など県外に出向きました。
これが滋賀であれば「えっ?」っと怪訝な顔をされて
「またまたぁ~、ゲテモン作ってどうするの?」と思う人が多いでしょう。

<試食用に鮒寿司アイスを容器に取り分ける>

<試食用に鮒寿司アイスを容器に取り分ける>

しかし、東京では「身近ではない」鮒寿司です。
東京ビックサイトで「鮒寿司の〜アイスですぅ〜!」
と叫んでも殆どの人が「???」というのが第一反応です。

そしてその次に
面白い事に多くの方が「鮒寿司」より「アイス」に反応されます。
アイスだって〜、ねぇねぇ、アイスだよ食べてみようよ〜
てな具合に友達も引っ張り込んで試食に手を伸ばすのです。
「鮒寿司」という馴染みの無い言葉は耳に入りにくいようです。
こっちの話なんてまともに聞いちゃぁいないのです(^^ゞ

ちょっと心配になってもう一度
「鮒寿司の」とか「発酵したご飯の」とかを
はっきり大きな言葉で案内します。
地元では発酵したご飯を通常食べるご飯(めし)と区別して
いい」と言いますが、「いい」では意味が通じません。

鮒寿司の」とか「発酵したご飯の」と聞いて
一瞬立ち止まる人、半分くらいでしょうか。

その直後
えーーーーーーっ!鮒寿司のご飯!?
と一瞬身構える人。
フナズシ?」「発酵したご飯?
と首を傾げる人…。

さて、試食される方が男性ならば、ここで
色々成分や製法を聞かれる方もおられます。
しかし女性の方は殆どが、たとえ一瞬立ち止まっても
更なる前進を続けるのです。後退はありません。

自ら進んで鮒寿司アイス試食用の小さな容器を取り
軽くスプーンですくう人、なかには大さじ分くらいを
パックッと一気に口に入れる人もおられます。

あっ!美味しい!
う〜ん…、これは口に合わない…
と直ぐ言葉に出される方がおられる一方、

……?………???

口に入れた食べ物の味が何なのか?
脳が高速回転で処理しながら答えを導きだそうと
していますが、結論付ける言葉が出てきません。

不味いでもない、普段馴染んでいる美味しいでもない、、何?、、、

少し間を置いて
レアチーズっぽい感じがしませんか?
と、こちらから声をかけると、
混乱していた女性は思考の無限ループから
ようやく抜け出します。

そうそう、そんな感じ〜

へぇ〜〜〜〜〜っ

徐々に言葉が当てはまった実感が湧いてきて、
その実感が確実なものへと成ってゆきます。

本当だぁ、レアチーズみた〜い!

彼女の中で <レアチーズ=美味しい!> の図式が既にあるならば
<鮒寿司アイス=レアチーズ=美味しい>
こういった関連付けがなされるのかもしれません。

それから、真ん中がすっ飛んで
<鮒寿司アイス=美味しい!>
という具合にショートカットが起きて

最後に心の中が
美味しい〜〜!
に満たされてゆくのでありました〜。

と、

いうような現象が起きているのではなかろうかと
私は試食される女性のお客さん達の反応を見て思ったのであります。

中には
凄~~い!
と叫ばれる方もおられました。

女性に凄〜い!って叫ばれたら、あなた、ちょっと興奮しちゃいますよね〜(^^ゞ

ところがこの現象、
単なる物だけを提供するような状況では起きないようです。

鮒寿司アイスの市場調査は自ら店頭に出向いた東京と大阪の他に、
仙台でも試食用のサンプルと案内チラシなどの物だけを送って
現地の方の協力を得て試食調査を行って頂きました。

その結果
最初の二口から三口は「おいしい」との反応だが、
濃厚な味となっており、アイスのなめらかさが足りないため、
最後の方は飽きてしまうとの声が多く寄せられた。
宮城県での販路開拓は難しい。
また、鮒寿司アイスとのネーミングとチラシの発酵力は
検討した方が良いと思う

との総評のコメントを頂きました。

私はこれをとても率直な感想だと思います。

しかしながら、同じ物を試食したのに
どうしてこのような反応の差が出来るのでしょうか?
それはやはり、試食したときの状況の差
影響しているように思うのです。

仙台ではお客さんの状況を盛り上げるフォローが
充分行えなかった、と言えるのかもしれません。

かと言って、私たちがその役割を充分に果たしていたのか?
その瞬間は自覚して接客していた訳ではないので
明確な事はわかりませんが、少なくとも自信を持って
自分の好きな物だから勧めていた事は間違いありません。

以前にもWFFC東京支部長の高橋さんが
鮒寿司を含め普段馴染みのない食べ物については
専門家による食べ方などの支援が必要なのではないか、
利用方法利便などを広く知らしめる必要がある
というようなコメントをくれました。

実際にアンケート結果でも食べる場面としては
「コース料理などのアクセントとして」、
「(和、洋)酒のつまみ」
として食べるのが良いとの結果が多く寄せられています。

食べる場合に料理やお酒を提供する人のサポートがあれば、
より充実した食べ方が期待できるという事なのだと思います。

鮒寿司アイスは商品というより食材としての位置づけの方が
理解され易いようですし、楽しみ方が広がり易いでしょうね。

ということは、鮒寿司アイス、ひいては鮒寿司を
より楽しむ為にはhow to的な面で関わっていく事、
また関わっていく人を増やしていく事が
大事なのだなぁ〜。

そんな事を思いました。

<内部リンク>
全展(全国展開プロジェクト)についての記事
発酵力のパネルについても書いた記事
東京会場で試食した人の感想の記事

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