酔狂(4)鮒寿司と水

2011年8月15日

[ 鮒、塩、米、、温度、発酵 ]

以前、「酔狂ですか?鮒寿司を作るこだわり」と題して
徳山鮓で伺った話を反芻し、自分なりにまとめて記事に書いてみよう
などと書いてみたものの、その後なかなか進んでいませんでした。
ちと時間が経ちましたが、続きを書いてみようと思います。

塩切りの段階では、鮒寿司にとっての水は不要なものとしての扱いです。
塩切りとは塩によって魚を保存する仕組みです。
一般には塩漬けと呼ばれる方法だと思いますが、
鮒寿司では塩切りと呼ばれる事が多いようです。

これは以下に書く作用から
塩によって鮒の水を切る作業を縮めて塩切り
言うようになったのではないかなぁ〜と勝手に
思っています。

<塩切りによってしみ出してきた水分>

<塩切りによってしみ出してきた水分>

ます、内蔵を取り出した生の魚の外側を塩で覆ってしまうと
浸透圧の作用で魚の体内の水分が体外に抜け出てしまいます。
この現象によて鮒に取り付こうとする腐敗菌が
主に二つの側面で影響を受けます。

一つに、鮒の身を腐らす腐敗菌も塩による浸透圧作用を受けて
腐敗菌自らの細胞内の水分を奪われ生存できなくなります。

もう一つに、細菌の増殖には水が欠かせないことから、脱水して
乾燥に近づけることは腐敗を抑える事にもつながります。
(細菌の中には塩が好きな細菌(好塩菌)や
塩では死なない細菌(耐塩菌)もあります)

このような目的の為に、極力水分をなくす作業が塩切りですが
その後、飯漬けの前に鮒を綺麗に水洗いした後、再び乾燥させます。
これも腐敗防止の為の作業と考えます。

<洗った鮒を陰干しをして水を切る>

<洗った鮒を陰干しをして水を切る>

以上ように鮒の保存の為に水は極力嫌われる存在です。

では鮒寿司にとって必要な水は何か?となりますが
それは飯漬けする為のご飯を炊く水になります。
(桶の上面に張って空気を遮断する為に使う水は、
ビニールでも代用可能ですので、ここでは述べません)

ですから、少し視点がズレますが
おいしいご飯を炊く為の水のこだわり、という着目点で
鮒寿司にとっての水を考えていく事が必要かと思います。
私には未開拓の分野です(^^ゞ

<おいしいご飯と水>

<おいしいご飯と水>

ご飯を炊く水なんて何でも良いんじゃないかぁ?
そう思う事もありますが、そうとも言えないんじゃないか?
とも思う…。

水道水かそうでない水かの違いは
カルキ成分、ミネラル分の有無などになると
思いますが、それがご飯を炊く時にどのような
違いになるのか?
私には全く分かりません。

けれども、

ちょっとしたこだわりは
気持ち的に食を豊かにするような気がしますね。

ということで、ちょっとだけこだわってみました。
==> 平成の名水百選 堂来清水の水を汲みにゆく

<内部リンク>
酔狂ですか?鮒寿司を作るこだわり

<外部リンク>
塩の情報室 塩と健康
wiki 食中毒

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