鮒寿司は寿司というより漬物だな〜

2011年6月17日

鮒寿司って何ですか?と問われれば寿司の源流と説明するより、
むしろ漬物だと言った方がしっくりしますね。
食べている感覚から、そう思います。

鮒寿司は湖岸周辺だけでなく広範囲の家庭で漬けられていました。
鮒寿司の隣には沢庵桶などの他の漬物桶が並んでいるのは
珍しい風景ではありませんでした。うちも琵琶湖から何キロも離れていますが
子どもの頃は鮒寿司を含め色んな桶が軒先に並んでいました。

鮒寿司の発酵には乳酸菌が作用します。これも漬物と同じです。
お酢を使う寿司は酸味にサッパリ感を感じますが、
乳酸はちょっと重たい感じがします。
ですから、主食としてパクパク食べるというよりは
ご飯のおかずや酒の肴のような副食としてジックリ味わって食べます。

<漬物 見てるだけで口の中が〜>
<漬物 見てるだけで口の中が〜>

で、なんでわざわざ生魚の鮒を漬物にするのか?
発酵学者の小泉武夫さんは発酵食品の四つの特徴として
以下の事を言っています。

1、腐らない
2、栄養が高まる
3、風味がある(くさい)
4、有機微生物を生のまま体内に取り込める

漬物と同じですね。

滋賀の豊かな恵み
琵琶湖の魚、山から流れるきれいな水、広がる田園から沢山採れるお米、
塩の道から容易に届けられる塩、冬は雪が降り夏は蒸し暑い気候風土、
そんな恵みの数々と、数千年のあいだ人々が伝えてきた
伝統と知恵「漬ける技」によって作り出される食べ物が鮒寿司です。

<湖と山と田園の豊かな恵み>
<湖と山と田園の豊かな恵み>

中でもニゴロブナは他の鮒と比べて
漬物にすると骨が柔らかくなりやすいです。
漬け上がった鮒寿司は頭から尻尾まで抵抗なく食べられます。

鮒寿司を数ミリ程度に薄くスライスして、
<卵の部分>は酒の肴やご飯のおかずとして楽しみます。

<頭や尻尾>も、お茶漬けや吸い物のにして楽しめます。
鶏ガラスープなんかにも良く合います。
見た目は何ですが、鮒寿司の頭の部分には脂の旨味
尻尾には筋肉の旨味がいっぱい詰まっていて美味しいのです。

<鮒寿司はどちらかと言うと漬物だ>
<鮒寿司はどちらかと言うと漬物だ>

スライスした鮒寿司を一切れ、口に含んだ瞬間に
力強い酸味と塩っぱさが口内に広がり、
噛みしめる程に熟成された旨味がジュワジュワ〜と湧き出てきます。

お椀に鮒寿司を数切れ入れて、熱いお茶やスープをサ〜っと注げば
独特の酸っぱうまい香りがフワァ〜ッと漂います。
そして、熱々の汁をススッ〜と啜りましょう。

「あぁ〜〜 うまい!」と
思わず息を深く吐きながら、呟いてしまいます。

そんな漬物が鮒寿司です。

<内部リンク>
こちらに続きます ==> ぬか漬けと鮒寿司漬け

Comments (6)

高原正成6月 18th, 2011 at 10:05 午後

 一風変わった・・・というか、愉快ですね。しかし、熟れ寿司という言葉は古くある(んじゃないかな)し、漬け物と言うと、飯を置かず塩だけ・・・塩切り、までじゃないかと・・・。一応、塩切り(塩を洗い落として=言葉の正誤はともかく)から、発酵させる。スグキのはっこうがどうなっているのか、ちょっと気になり始めましたが、塩で保存するものと、発酵保存するものとは少し違うような・・・・で・・・・熟れ寿司派、になります。
 話変わって、テレビで見た「鮒切り神事」では、魚形からみて、ニゴロではなく、ヘラだったように見えましたが、実際はどうなのでしょうか。このあたりも気になりました。    高原でした

櫻井信也6月 18th, 2011 at 11:50 午後

こんばんは。石毛直道とケネス・ラドルの共著『魚醤とナレズシの研究』(岩波書店、1990年)には、以下のようにあります。
「ナレズシとは、主として魚介類、ときには鳥獣肉を主な材料として、それに塩と加熱した澱粉―おおくの場合、米飯―を混ぜることによって、乳酸発酵をさせた保存食品である」とひとまず定義をしておく。別の言いかたをすれば、ナレズシのおおくは米飯を漬け床としてつくった魚や肉の漬物である、と表現してもよい。
このうち、「保存食品」というのは、古代の史料の検討から誤りであると考えています。「漬物」については、「ナレズシ」をご存じない方に簡単に説明するにはわかりやすい表現ではないかと、同書を読んだ10年以上前には思ったものでした。明治期の民俗例では、飯漬けの前に塩切りをするのではなく、塩を振った鮎を飯に漬けて醗酵させる「鮎鮨」がありますし、現在の栗東市大橋の三輪神社神饌の「鰌鮨」も塩を振って飯に漬けているとのことです。高原さんの仰るように、塩だけの漬物もあるわけで、細部をみると、漬物とは言い難いところもあるかもしれませんが。取り急ぎ、思い付くことを認めました。

冨岡6月 21st, 2011 at 12:22 午後

高原様
いつもコメントありがとうござます。

科学的に詰めた内容ではなかったかしれませんが、
私は「漬ける」とは何かの液体や漬け床に食材を漬ける事と
理解しています。「漬ける」の中には塩、砂糖などの
「浸透圧作用」を利用する部分と、ご飯や米ぬかなどによる
「発酵作用」を利用する部分の両方を含んでいます。

何れの作用も鮒寿司を作っていく過程では「塩切り」「飯漬け」として
ありますから、漬け物として捉えても良いのではないかなぁ〜と
思った訳です。(その事をブログに書けば良かったかなぁ)

昨年見に行った下新川神社のすし切り祭りでは
ゲンゴロウとニゴロが混じっていたように見えましたが、
じっくり見た訳ではないので定かではないです。
実際はどうなんでしょうね?

冨岡6月 21st, 2011 at 12:29 午後

櫻井様
コメントありがとうござます。
文献の立場から解説頂きありがとうございます。

櫻井さんの解説されている明治期の製法と、似たよな製法を
減塩漬け物として独自にあみ出した人の本を読んでいました。

漬け物は奥深いですね。

高原正成6月 22nd, 2011 at 8:08 午後

一度やった干し鮒寿司。土用干しのために一匹だけ残しています。
 干した後は、ビニールパックで冷蔵庫保存で、なんとか乾燥が保たれているようです。
 ただ、味はかなり濃縮くされて、まさに「保存食」風。
 お茶で戻して頂いたほうが優雅だな、とも思います。大昔のホシイイの様な・・・・。

冨岡7月 1st, 2011 at 10:42 午後

高原様
いつもコメントありがとうございます。

発酵とは方向性が違いますが、干乾しも昔ながらの保存の技術ですね。
そういえば、私にとっては今まで範疇外でしたが「干す」事も
テーマとして面白そうですね。

お茶漬けも美味しそうですね〜♪
もう試されましたか?

また後日談もお知らせ下さい。
私も実験的に干乾しをしてみようと思っています。

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