環琵琶湖文化論実習報告書(2)

2009年11月7日

環琵琶湖文化論実習報告書(1)の続きです。
鮒寿司についての実習をした大学生の皆さんが、
鮒寿司を食べてみて、どのような感想を持ったのか?
私はとても興味を持ちました。

食べる時には匂いはさほど気にならず、むしろ、
気になったのは塩辛さの方だった。

この人の感想の重要なところは「臭い」ではなく
「匂い」と表現しているところですね。

初めて鮒すしを見るまでは、鱒ずしのように、
魚を寿司ねたのように用いているものとばかり
思っていたので、その実物を見た時、
「こんなものが食べられるのか」と思った。

(中略)
までフナというのはすしとして食べる魚では
ないと思っていたので、ショックだった。
それでは、食べてみればどうだったか、
予想通りまずかった。

衝撃的な体験をされてしまいましたね。
食べられるのか?と思ったのに
食べるのがすごいです。

今の時代の食生活から考えて鮒ずしは
現代には会わない。

(中略)
しかし、
(中略)

鮒ずしの長期間かけて作られた味は、
それだけの味がかもしだされていた。
そして、漬け込む前のフナより品が
優っている様に見えた。手間をかけた分
鮒ずしは美味しかった

今の時代に合わなさすぎる程、
鮒寿司が時間と手間をかけられていることへの
感動が、味覚の感度を上げているのかも
しれませんね。

鮒ずしの匂いは、
(中略)
チーズの腐ったような匂いという表現は
あたっているかもしれない。しかし、この
実習中に試食してみると先入観によって
つくられた匂いよりもはるかに、やさしい
においであった。しかし、
(中略)
慣れない私たちにはなじみにくい匂いであった。

よっぽどヒドイ臭気を想像していたのでしょうね。
えっ?そんなにヒドくないじゃん。
でも、クサイじゃん。
と二段構えの感想でしたね。

身は初心者には比較的なじみやすく、鯖ずしの
ようであった。それに鮒の皮が、少し厚くかたいので、
かみ切った後、ガムのような歯ごたえがあった。

確かに、ガムのような歯ごたえとは
言い得て妙ですね。

鮒寿司は保存食だから食べられる期間が長いです。
しかし、発酵の進度には巾があります。食べ頃でも
初期のころはまだ肉質がしっかり残っているのだと
思いますね。

私はそれでもスルメではないが、かめばかむ程
味があると感じますが、慣れない場合は持て
余してしまうでしょうね。

鮒ずしは酸によって締まった肉(特に卵)の舌ざわり、
上品な乳酸の風味と適量に生成したアミノ酸とが
よく調和して、なかなかコクのある乙な代物だと
思った。上手に漬けた鮒ずしは慣れないチーズよりも
よっぽど癖がない。

う〜ん、凄い表現ですね!

初めて食べた者にとってはかなり抵抗がありました。
普段全く食べなれていない食品なので、その味が非常に
強烈に感じられ、これと食い合わせのよい食品など
何もないような気がしました。
(中略)
何よりも、それらが発する独特の匂いには閉口させられて
しまいました。
(中略)
私達の最初の鮒ずしの印象は、とにかく臭いという
ものでした。しかし、決してお世辞で言うのではなく、
匂いは、質のいいチーズよりも、よっぽど
癖がなかったように思われます。

私は質のいいチーズの癖のある匂いがわからないので
何とも言いようがありません、、、。
それはそうと、初体験の鮒ずしで衝撃の匂いを
目の当たりにしても冷静に分析されている態度に
私は感動しました。

また、鮒ずしの発酵による栄養価の高まりについて
科学的に数値を出して、とても優れた食品だと
説明した後のコメント。

正直に言うと、鮒ずしに栄養があるのかどうか
疑問が残る。というのも、「栄養がある」から
食べられているというより、「嗜好食品、珍味」
として食べられている傾向があるからである。

これは難しいですね。
鮒寿司が美味い!と思っている人は無意識に
その栄養価に反応していると思うのです。
その美味い!を理屈で理解しようとすると
理屈っぽい話になる、、、、。

「乳酸とカルシウムの組み合せが〜」とか
「乳酸菌の整腸作用が〜」とか
「発酵によって生成されるビタミンB群が〜」とか
頭が理屈を理解して、喜んで美味いと感じるのも
あるのではないかなぁと、私は思います。

さて、こうして鮒寿司を体験された学生の皆さんは
その後、鮒寿司ファンになった人は何名くらい
おられるのでしょうか?気になるところです。
せっかく一度は関われたのですから、
鮒寿司を好きでいてほしいですねぇ。

という事で、滋賀県ならではの報告書を紹介しました。

<内部リンク>
環琵琶湖文化論実習報告書(1)

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