ごくらくちんみの鮒寿司 by 杉浦日向子

2010年5月15日

私の鮒寿司センサーにちょっと引っかかりましたので
書きたいと思います。

ごくらくちんみ

杉浦日向子さんと言えば、NHKの「お江戸でござる」で
いつもニコニコして江戸の歴史、風習についての解説されていた
記憶がありますが、それ以外はあまり知りませんでした。

実は1980年に雑誌『ガロ』でデビューした漫画家だったんですね。
元から江戸風俗研究家だと勝手に思っていたので、意外でした。

残念ながら2005年に下咽頭癌で46歳の若さで亡くなっておられます。
その1年前に出版された『ごくらくちんみ』という、
彼女ご推薦の色んな珍味を織り込んだ、各話2ページ程度の短編集です。
短編だけに様々な人間模様の余韻を楽しめる話が続きます。

その中に鮒寿司を織り込んだページが出てきます。

この一節を読んだある方が「鮒寿司が食べたくなった〜!」と
言っていたので、どんな表現がされているのか?
気になって読んできたわけですが、下戸の私には
ちょっと共感しにくい話ではありました(汗)

<ごくらくちんみ>
<ごくらくちんみ>

でも、直筆のイラストで描かれた鮒寿司と、
それへのコメント、とても彼女が愛情というか愛おしさを
鮒寿司に注いでいるような感じを受けました。

これを執筆中に彼女が既に死を意識されていたのかどうかは
分りませんが、食べる事を通して生を静かに噛み締めているような
そんなトーンのイラストとコメントです。

彼女にとって鮒寿司は
尾、ひれ、えら、皆々美味。
千年の伝統、珍味の至宝。旨い、偉い、気高い

です。

鮒寿司、偉いね!気高いね!
カエルが鳴く5月の深夜に、ちょっと書きたくなりました。

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